紹介:
"""7年もの間、私と愛を育んできた怜は、亡き兄の後を継いで徳留家当主の座に就いた。
そして彼は、兄の座だけでなく――兄の妻、朱里までもをその手に入れたのだ。
彼が彼女と寝るたびに、私には優しく言い聞かせるように囁いた。
怜「俺が愛してるのは君だけだ、美鈴。朱里が妊娠して、徳留家の後継者を産めば、君と正式に結婚しよう」
それが、彼の家族が当主継承を認めるために出した唯一の条件なのだと、彼は言った。
徳留家へ戻ってからの半年間で、彼は彼女と百回も体を重ねた。
最初は月に一晩だけだった。
けれどいつしか、それは毎晩になっていた。
私はずっと、一晩中眠れないまま彼の帰りを待っていた。
そしてその夜、朱里の妊娠が確認された。
同時に、彼女と怜が結婚式を執り行うという知らせも届いた。
それを聞いた息子が、不思議そうに首を傾げる。
「パパは、愛する人と結婚するって言ってたのに、どうして僕たちを迎えに来ないの?」
私はそっと彼の頭を撫でた。
「私が……その『愛する人』じゃないからよ」
胸の奥が痛んだ。
それでも私は微笑みを作る。
「でも大丈夫。一緒に、本当の家に帰ろう」
怜は知らない。
私が乙武家当主のたった一人の娘だということを。
そもそも私は、一度だって徳留家の嫁になりたいなんて思ったことはなかった。"""
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